EURO開幕!開幕戦はイタリアの完勝 トルコは次節以降に影響が出そうな出来に...

 

 

5年ぶりのEURO、盛り上がりのほどは?

欧州ではワールドカップよりも盛り上がるともいわれるEUROがついに開幕。

一年延期となった今大会は60年を迎えることから11都市での記念開催となった。

6/11の開幕戦はトルコ対イタリア、会場はイタリア「スタディオ・オリンピコ・ディ・ローマ」で行われた。普段はローマがホームスタジアムとして使っている。

 コロナウイルスの影響で入場者数は25%と限定されるものとなったが、サポーターの前で行われる久しぶりの大きな大会ということもあり、試合開始前から大いに盛り上がっているように見えた。

サポーターの声援は選手にとって大きな後押しとなり、もうひと踏ん張りする選手の姿が大会を通して多く見れるかもしれない。

注目のスターティングメンバーは?

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イタリアはヴェラッティが間に合わず、中盤にはロカテッリが起用された。

大きなサプライズはなく、順当にレギュラー陣が選ばれた。

ダークホースとの呼び声が高いトルコは、5大リーグで活躍する選手が多く先発した。

両チーム同じようなフォーメーションを使ってきたが選手がとるポジションはかなり違うものがあった。

イタリアは守備時は4バックだが、攻撃時には3-4-2-1のようになる。

左SBに入ったスピナッツォーラが左サイドで幅をとりながらで高い位置に出る。

フロレンティが3バックの一角のようなポジションをとることでスピナッツォーラが高い位置をキープできる。

右サイドは右WGのベラルディが幅をとり、3バックの一角である右SBのフロレンティとの間にはバレッラが入ることで前線にボールを運んだ。

中盤はロカテッリとジョルジーニョが横並びになり、バレッラが高い位置をとる。

左サイドでゲームを作ることが多く、フロレンティの攻撃参加は多くなかったものの、右サイドが起点になる際にはフロレンティも攻撃に参加し、最終ラインにCBの2人しか残っていないこともあった。

対するトルコは守備時に4-1-4-1のようになる。

特に変わったポジションをとる選手はおらず、自分のテリトリーをしっかりと守る戦法をとった。

攻撃時のビルドアップではチャルハノールがいろんなところに顔を出すことでリズムを作った。

前半 堅守の光ったトルコ 攻撃で苦戦したイタリア

試合の入り方は対照的なものとなった。

ロングボールを使い簡単にプレーしたトルコに対し、イタリアはボールを捨てることなく丁寧につないだ。

前線からのプレスにも差があった。トルコはそれほど強くプレスはかけず引き込み、イタリアは自由を与えないように前線から激しくいく。

それぞれのやりたいサッカーの色がはっきりと出た前半はイタリアがボールを保持し続けた。

イタリアはボールを保持する中で前進することもできたが、中央に枚数をそろえスペースを与えないトルコ相手にビックチャンスをなかなか作れない。

サイドを突破しクロスを上げるも、長身選手をそろえるトルコには効果的ではなかった。

インシーニェとベラルディのワンツーでゴールに迫るシーンやベラルディのダイアゴナルランはゴールへの期待感を感じさせるものであったが、シュートは精度を欠き、先制点を奪うには至らなかった。

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ただ、トルコにカウンターの機会は1度も与えなかった。トルコの1トップに入ったユルマズに目がけて蹴ったロングボールには2CBが落ち着いて、トルコのシュートは0本。

攻守のバランスは悪くなかったものの、前半のうちに先制し試合を支配してしまいたかった。

トルコはカウンターベースでゲームプランを組んできたように感じた。ハイラインでプレーするのではなく、ある程度自陣にまで引き込み跳ね返す。最前線にはボールキープすることのできるユルマズがおり、そこへのロングボールが攻撃の起点に。

自陣のペナルティエリア付近に9人もの選手が戻ってくることもあった。

イタリアとの力関係を考えたときには守備に重きを置くことは間違いではなく、得策だったのかもしれない。

ただ、シュート0本に終わり無失点に抑えた前半を良いと捉えるかもう少し攻撃的にするべきかは難しいところである。

個人的な意見としては、グループAの中で最も勝ち点を取りづらい相手に対して引き分けは悪くない結果なので、後半も前半と同じスタンスで戦えばいいと思っていました。

後半 勝敗に影響を与えたのは交代?それとも先制点の重み?

私の考えとは違いトルコは前線の選手をいじってきた。中盤の一角に入っていた11番のヤズシュをウインガーの7番ウンデルに代えてきた。ウンデルはチャルハノールのいた左WGに入り、中盤の一角にチャルハノールが入った。

後半開始直後はこの交代がうまくはまった。前半シュート0本だったトルコは51分にウンデルの単独でのカウンターでシュートまでいけた。

ウンデルのスピードと突破力はカウンターベースで戦っていたチームにとって大きな武器となり、得点の匂いすら感じさせた。

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ただ、問題はここからだった。前半に比べ前への意識が強くなったトルコはある程度プレスをかけるようになった。前線と中盤の選手がとるポジションは前半よりも高くなったがDF陣は前半の低いライン設定のままだった。

53分 ラインの低いDFと前に出ていった中盤の間に生まれたスペースをバレッラにうまく使われ、高い位置で左から右へとサイドチェンジをされた。バレッラに右のベラルディへとパスを通されるとベラルディは縦に突破しクロス。クロスがデミラルにあたりオウンゴールで先制されてしまった。

66分の失点シーンはチャルハノールが下がり切れなかったことが招いた失点だった。チャルハノールの下がらなかったスペースをバレッラにうまく使われたことで再びベラルディにクロスを上げられてしまう。スピナッツォーラのシュートは防いだものの最後はインモービレに決められてしまった。その後、GKのミスからインシーニェに3失点目を喫してしまい万事休す。

チャルハノールを中盤の一角に添えたことは、ボール保持を視野に入れてのことだったのかもしれないが安定していた守備組織に隙を作ってしまった。

また、ウンデルが入ったことで攻撃的になり、イタリアにスペースを与えたことも3失点の原因の一つだろう。

カウンターベースで戦うチームにとって先制点を献上してしまうことが試合をより難しくすることを痛感した試合となったかもしれない。

イタリアは後半の早い時間に先制できたことが試合を楽にした。

バレッラの巧みなポジショニングが光り、攻撃にアクセントを加えた。

チームのエースであるインモービレとインシーニェに第一戦から得点が生まれたことは今後のチームの雰囲気に大きくかかわってくるだろう。

後半の出来に唯一注文を付けるとしたら交代で入ってきた選手の出来だろう。10分と短い時間であったが、3トップを

インシーニェ、インモービレ、ベラルディ→キエーザ、ベロッティ、ベルナルデスキ

に代えてからはチャンスシーンはほとんどなく、レギュラー陣との差を感じた。

3点リードしていたのならばキエーザはもっと突破というアピールをするべきだったし、ベロッティも強引にシュートまでいくべきだった。

ベルナルデスキは特にひどく見えた。FKの質は低く、パスもずれる。突破も少なくベラルディとの差を非常に感じた。

とはいえ3得点を奪い快勝した開幕戦であった。

この試合のMOMは?

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私ならこの試合のMOMはバレッラにする。

前半には見られなかったトルコの隙をうまく突き、つなぎ役としての役目をしっかりと果たした。デブライネのような鋭いスルーパスやクロスを上げるタイプではないが、この選手がいるだけで攻撃がスムーズになるだろう。

この試合ではアシストは付かなかったものの先制点と2点目は彼がいなければ生まれなかったゴールかもしれない。

カテナチオと呼ばれた国を攻撃的で魅力的なサッカーをするチームにできたのは彼のおかげだろう。

第2戦以降もバレッラに期待していきたい。